思いつくままに

その日の出来事や回想を綴ります

母のこと

昨日は何とか出勤できた。仕事もそれなりに進んだ。
でも、薬をマックスで飲んでいるのだがあまり思わしくないので、
ぼんやり昔を思い出してみることにする。
自分のことで自慢できることは何もないけれど、母のことはちょっと自慢だった。
母は正直者で単純でまじめで、明るくてよく笑った。母が39歳の時、父が亡くなるまでは。
そしてきれいで若く見えた。
私が若い頃は、母娘に見られることは滅多になかった。
私は老けて見えるのに母は若く見えるので、一緒にいると年の離れた姉妹に見られることが多かった。


私がまだ独身だったある日、紅葉を見るために近場の観光地に2人で行ったとき、男性2人組が「写真撮りましょうか」と声をかけてきた。せっかくなので言われたように母とのツーショットを撮ってもらい、「送りますから住所を」と手帳とペンを渡された。母が私に「書いて」と言うので、私の名前と住所を書いた。後日、その人から写真が送られてきて、「お友達にもよろしくお伝えください」とあったのには2人で笑ってしまった。


でも、極めつけはこれだ。夫と婚約して少し経ったとき、夫側の親族の法事があった。母と私もその法事に参列して、その後の食事のときに、遅れて来られた夫の遠い親戚の男性に、義母が私を「これが息子の婚約者です」と紹介すると、その男性が「どっちの方がですか?」と、隣に座っていた母と私のどちらを指して言われたのかを確かめたのだ。要するに夫の婚約者だと思われるくらい母は若く見られていたということだ。さすがに唖然としてしまった。


母は若く見えるだけでなくておしゃれだった。貧しかったのでお金はかけてないのに、安い中から選ぶのがすごくうまくて、おしゃれに敏感だった従兄が私に「叔母さんはセンスいいよなー」と言ったことがあった。


そんな母も80を過ぎて、骨折してからは歩きぶりも悪くなり、さすがにおばあちゃんに見える。でも、未だにちゃんと毎日お化粧して、髪も染めている。それを母は「身だしなみだから」と言うが、清潔でさえあればそれでいいと思っている私とはわけが違う。
自分が産んだ子供だというだけで、母にはどれだけ支えてもらったか、ここに短時間で綴ることはできない。いつかまたその一端を上げたいと思っている。どんなにありがとうって言っても足りないけど、ありがとう、お母さん。